Hさんご夫婦

- 子ども
- 1人(1歳長女)
- 働き方
- 共にフルタイム、テレワーク併用
- 利用制度
- ベビーシッター、家事代行サービ ス
Hさんご一家 リアルライフ
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今回は、1歳5か月のお子さんを育てながら、フルタイムで勤務する共働きのご夫婦にお話を伺いました。
対話を重ね、外部サービスも柔軟に取り入れて築いてきた「自分たちらしい両立の形」。そのリアルな工夫と考え方に注目です。
Q:まずは、ご家族構成と現在の働き方について教えてください。
夫:私と妻、そして1歳5か月の娘が一人います。仕事は営業職の管理職としてフルタイムで勤務しています。勤務時間は8時からで、残業がある日は21時頃になることが多く、残業時間は月平均で30~40時間ほどです。出張も多く、18時頃に帰宅できる日は、2週間に1回あるかどうか、という状況です。
家庭では、基本的に平日は妻、土日は私が子どもの世話をするという分担をしています。平日の家事のうち、子どもの朝ごはんの準備、洗濯物をしまう、食器を片付ける、ゴミ出し、風呂掃除は私が担当し、それ以外を妻が担っています。
妻:私は個人事業主として、自宅から車で30分ほどの場所にある事務所で働いています。娘を保育園には預けず、毎日一緒に事務所へ連れて行っています。そこで実母やベビーシッターさんの力も借りながら仕事と育児の両立を図っています。
Q:産後1週間で仕事に復帰され、保育園には預けずにお子さんと一緒に行動されているとのことですが、そこに至るまでの経緯を詳しく教えてください。
妻:個人事業主には、制度としての産休や育休がありません。そのため、出産直前まで業務を行い、出産後1週間で仕事を再開しました。休もうと思えば休めたのですが、その間にお客さまとの関係が途切れてしまうのではという不安もありました。
また、産前は生後6か月頃から保育園に預けることも考えて探していましたが、実際に出産してみると、「自分で育てたい」「できるだけそばで成長を見守りたい」という気持ちが想像以上に強くなりました。
その結果、保育園には預けず、娘を連れて事務所に通いながら、仕事と育児を行う今のスタイルに落ち着きました。
妻さんは産後1週間で復職し、お子さんを事務所に連れて働く「子連れワーク」を実践されており、夫さんは責任の伴う立場で長時間勤務という制約がある中でも、平日と土日の家事分担を明確にし、それぞれが担える役割をしっかり果たしている点が印象的です。
Q:非常に多忙な毎日だと思いますが、両立させる中での仕事へのモチベーションや、お子さんの誕生による仕事への向き合い方の変化について教えてください。
妻:子どもの将来のために資産形成が必要だということ、そして将来、子どもが成長したときに「生き生きと働いているママ」でありたいという想いが、今の仕事へのモチベーションです。
そうした想いを持つ一方で、子どもの誕生をきっかけに、仕事や時間に対する価値観にも変化が生まれました。
子どもが生まれる前は、夫婦二人で仕事に全力で向き合ってきましたが、今はできるだけ子どもと一緒に過ごし、成長をそばで見守りたいという気持ちが強くなっています。
そのため、仕事では無理に量を増やすのではなく、受けられるキャパシティを冷静に見極めたうえで、出産前から築いてきたお客さまとの信頼関係を大切にしながら、産前と同程度の仕事量を維持することを意識しています。
夫:以前は、「もっと昇給・昇格したい」という思いが仕事への原動力でもありました。そして、自分が昇給すれば、家族も幸せになるはずだと強く思い込んでいました。しかし、実際は全く違いました。妻は、収入以上に「家族で過ごす時間」に価値を持っていました。そのことに気づけたのが大きな変化です。今では、家庭がうまく回っていないと仕事にも悪影響を及ぼすと痛感しています。パートナーに感謝を伝え、家庭でも配慮した行動をすることが、結果的に仕事に注力できるコツだと考えています。また、全国転勤(海外あり)がある職種ですが、子どもが生まれたことで、昇格・昇給だけではなく、営業として全国を回る働き方に限らず、本部での業務も含めて「子どもと一緒に暮らせるキャリア形成」を検討し始めました。
「昇給が家族の幸せにつながるだろう」という考えから、「家族の時間はお金以上に価値がある」という気づきへの変化がとても印象的です。妻さんの「生き生きと働いているママでありたい」という想いも、仕事のモチベーションに繋がっていて、お二人とも前向きに両立に向き合っていますね。
Q:今の協力体制に至るまでには苦難もあったと伺いました。どのようにして現在の分担ルールを築き上げたのでしょうか。
夫:勤務先の制度で「短期育児休暇」を15日間ほど取得しました。ただ、その期間に資格取得の勉強ばかりしており、家事も育児もすべて妻に任せてしまい、夫婦関係は急激に悪化しました。妻からは「二度と育休は取らないで」と言われるほどでした。今振り返ると、自分が忙しさを理由に家事・育児を担えないときは、相手は仕事も家事・育児もこなさないといけなくなり、もっと忙しくなるということが、当時はわかっていなかったのだと思います。そうしたときには、自分から外部サービスの利用を提案するなど、主体的に行動をするべきだったと強く反省しています。
妻:私自身も限界を感じて、1,000文字くらいの、まるでビジネス文書のような改善要求メールを送ったんです(笑)。感情的にぶつかるのではなく、これまで感じてきた違和感や、家庭や育児に対する価値観の違い、そして「これからどうしていきたいのか」という自分の想いを、できるだけ冷静に言葉にして伝えました。
夫:そのやり取りをきっかけに、家事・育児への関わり方を大きく見直しました。現在は、平日はできる範囲で家事を担い、土日は必ず子どもを外に連れ出すようにしています。家の中でつきっきりになるよりも、自分には外で一緒に過ごす方が合っていて、それが自分自身のリフレッシュにもなっています。
家事・育児を担うようになってから、趣味のサウナに行ってきていいよと妻から言ってもらえるようになり、自分の時間も楽しめるようになりました。
妻:土日に一人の時間を持てるようになったことで、仕事の残務を片付けたり、ゆっくり休んだりできるようになりました。気持ちに余裕が生まれたことは、本当に大きな変化だと感じています。
感情的なぶつかり合いで終わらせるのではなく、一度立ち止まってお互いの価値観や考え方にきちんと向き合われた点が、とても印象的でした。双方が納得できる形に落とし込んでいったプロセスは、まさにお二人ならではのスタイルだと感じます。
Q:家事代行やベビーシッターなどの外部サービスを非常に戦略的に活用されていますね。導入のきっかけや具体的な利用状況を教えてください。
妻:家を建てて広くなったタイミングで、自分一人では家事をこなすのは物理的に難しいと思い、家事代行サービスを探しました。現在は2週間に1回、水回りなど日常では手が回らない部分を中心にお願いしています。
家事代行については、当初は自分で情報を集め、業者ごとの得意分野やPRを確認しながら検討していましたが、最終的には知り合いから紹介があり、安心感もあったことからすぐに依頼しました。今では、その方なしでは我が家の生活が成り立たないほど、欠かせない存在になっています。
また、ベビーシッターについては、週1回、子どもを連れて行けない顧客訪問時や、仕事が立て込む時期に、事務所へ来てもらっています。仕事と育児を無理なく両立するための大切な支えとなっています。
Q:ベビーシッターを利用されてみて、実際はいかがですか?保育園に入園させる選択もあったと思いますが、今もベビーシッターにお願いしながら、この生活スタイルに落ち着いている理由や感想を教えてください。
妻:自宅や事務所など、身近な場所で見てもらえる安心感が大きいですね。集団保育ではなく、自分の子どもだけを見てもらえる点も、私たちには合っていました。
子どももすぐに懐き、毎回楽しそうに過ごしています。
また、夫の会社の福利厚生を利用して、複数のシッターさんと契約しており、年齢や経験もさまざまです。いろいろな大人と関わる機会にもなっていて、子どもにとっても貴重な交流だと感じています。
夫:会社の福利厚生で、こども家庭庁の「ベビーシッター派遣事業割引券」を活用しており、費用は毎月の保育料と大きく変わらない程度だと思います。
今まではこんな福利厚生があるなんて全く知らなかったし、男性も取得できるんだという驚きもありました。会社では、女性には復帰後の説明会がありますが男性にはないので、子どもが生まれた男性にも伝えるべきだと思います。ぜひ、同じ境遇のパパさんにもチェックしてほしい制度です。
妻:また、衣類乾燥機や食洗機など、機械に任せられる家事はできるだけ機械化し、家事にかかる時間を短縮する工夫をしています。
さらに、買い出しにかかる時間を減らすため、宅配サービスも毎週利用し、日々の家事をできるだけ効率よく回せるようにしています。
「自分たちだけでやる」という固定観念にとらわれず、プロのサービスや機械を「投資」として使いこなしているのが印象的です。特に福利厚生の補助を利用してコストを抑えている点は、制度をよく調べて主体的に動くことの重要性を物語っていますね。
Q:最後に、仕事と育児の両立を目指す方や、キャリアを手放したくない方へアドバイスをお願いします。
夫:子育てしながら共働きをすることは大変です。自分の自由な時間は確実に少なくなります。だからこそ、限られた時間の中で何を大切にするかを、夫婦でしっかり話し合うことが重要だと思います。
実際に家事・育児に関わるようになってから、奮闘する妻の姿を目の当たりにし、物事の見え方が大きく変わりました。我が家の抱えていた問題は単なる「各家庭の問題」ではなく、女性活躍推進に向けて解決すべき「社会全体の問題」なのだ、ということを痛感しています。
この経験をきっかけに、現在は自社主催で、社内外に向けた「女性活躍」をテーマとしたセミナーを企画しています。女性が主体的に活躍している企業にも登壇してもらい、家庭と仕事の両立や男性の関わり方について、参加者と一緒に考える場をつくっています。
国の施策だけに頼るのではなく、名古屋市のような身近な自治体や企業が率先して、男性の家事・育児参画を後押しする取り組みを進めていくことで、社会全体が少しずつ変わっていくのではないかと期待しています。
妻:私は実母のサポートを受けられる恵まれた環境にいますが、たとえそうした身近な支援がなくても、行政の制度や外部サービスを活用することで、自分たちなりのスタイルをつくることはできると思います。
すべてを一人で抱え込む必要はありませんし、最初から100点を目指さなくても大丈夫です。上手に周囲に頼りながら、サービスを積極的に活用して、自分たちが無理なく両立できる形を見つけてほしいですね。
頑張りすぎず、少し肩の力を抜いて、限られた時間しかない子育てを楽しんでほしいと思います。
育児の実践を通じて意識を変え、職場でも女性活躍推進の当事者として行動を起こされている夫さんの姿は、家庭内にとどまらず、社会へも良い影響を広げていると言えます。
また、外部サービスや制度を柔軟に取り入れながら、対話を重ねて「自分たちらしい両立の形」を築いてこられたプロセスは、これから仕事と育児の両立に向き合う多くの方にとって、大きなヒントになるのではないでしょうか。貴重なお話をありがとうございました。





