スペシャル対談

ナゴ女応援!サイト特別企画 伊東副市長×女性の活躍推進企業 スペシャル対談 ~有限会社東海維持管理興業~ナゴ女応援!サイト特別企画 伊東副市長×女性の活躍推進企業 スペシャル対談 ~有限会社東海維持管理興業~

名古屋市の「女性の活躍推進」を担当する伊東副市長が、令和元年度「女性の活躍推進企業最優秀賞」を受賞された、有限会社東海維持管理興業の皆さんと対談いたしました!
専務取締役の中林直子さん、総務課係長の玉山好美さん、Tプロジェクトリーダーの茶谷香菜恵さんがお話してくれました。

1.自己紹介

伊東副市長学生さんや、今お仕事を探していらっしゃる方、転職をご希望の方に向けて、「こういう風に女性が活躍している企業があるんだ」ということを知って、参考にしていただくために、また、企業の方に向けて、女性が活躍できる環境づくりの参考にしていただくために、対談を行いたいと思っています。本日は有限会社東海維持管理興業の専務取締役 中林さん、総務課係長 玉山さん、Tプロジェクトリーダー 茶谷さんにお話を伺います。では、それぞれ自己紹介をお願いします。

中林さん弊社は半田市に本社がありまして、今年で創業20周年になります。名古屋市のお客様が多く、地元の半田市ではまだほとんど行われていない下水道を掘らないで直すという、少し特殊な仕事をしております。業種は建設業ですが、「TMC東海メンテナンスコントロール」と言って、名の通り維持管理の仕事です。穴を掘ったり、金属で鉄骨を組み立てたりすることが主ではなく、「ロボットを操作して現況調査を行い、特殊機械を使用してメンテナンスをする」ということが1番大きな仕事となっております。
創業は社員7名から始めましたが、今は社員50名弱の会社になっています。
私自身は、もともと幼稚園の教員を10年やっていまして、その後会社を始めました。創業当初から関わっています。その頃から「会社を作るときは、社員食堂と保育園を作りたい」と思ってやってきました。20年間その夢に向かって進んできたな、という想いです。

玉山さん私は学校を卒業した後、正社員で働いていましたが、その後派遣社員として、色々な業種の会社で働いていました。その中で、ご縁があって今の会社に就職しました。当時はリーマンショックの時だったので、就職できて本当に良かったと思っています。
建設業界は初めてでした。今の会社に就職をして、今年で11年目になります。今は、5名の社員がいる部署で、総務と経理の仕事を担当しております。

茶谷さん私は大学卒業後に、地元で役に立つことがしたいということと、事務員さんに憧れがありまして、この会社に入社しました。今年で5年目になります。今年の1月に「Tプロジェクト」というプロジェクトのリーダーに任命されまして、現在は工事書類を担当しながら、女性4名、男性1名のプロジェクトをまとめています。

中林さん少し補足ですが、玉山は派遣社員としてずっと大手企業で働いていたため、大手企業とのギャップがあり、苦労しながら本当に努力して会社の基礎を作ってくれました。

玉山さん自分の中でさまざまな葛藤がありましたが、色々任せてもらえたり、提案したことを実行させてもらえたりして、楽しさもたくさんありました。

中林さんまた茶谷は、初めての新卒女性社員だったのですが、実は、「必要ない」「まだ女性の新卒社員を育てる力は会社にない」など、役員会で結構反対がありました。必ず育てると思った私は、玉山ともう一人の社員に相談して、「茶谷さんの人生を預かって頑張っていこう」と話し、茶谷もそれに応じて頑張って働いてくれています。

2.女性の活躍推進に取り組むことになったきっかけは?

伊東副市長建設業は男性が多い職場のイメージが強いですが、実際に男性の方が向いているのでしょうか?また、そのようなイメージを持たれることが多い建設業界で、(茶谷さんが入社した)5年前くらいから、女性の活躍推進に取り組むことになったきっかけは何でしたか。

中林さん建設現場の事務員さんは、「誰でもできる仕事」というイメージがあったのですが、それではいけない、という思いが私自身ありました。そんな時に国交省のステップアップ支援事業というものがあり、金城大学や衣料メーカーとプロジェクトを組んで、高機能・高性能のかっこよくて新しい作業服を開発しました。作業服の改良と、カメラの技術を開発するという支援も受けて、女性による工事書類作成チームを立ち上げました。そのプロジェクトを「Wプロジェクト」と名付けました。「W」は「WOMAN」の「W」です。
作業服を通して、現場の士気向上、建設業のイメージアップ、ひいては若者や女性が入社してくれるきっかけになってくれれば良いなと思いました。それがきっかけです。

3.女性の活躍推進を着手するにあたっての課題

伊東副市長そうやって女性活躍を進めていくにあたって、当時は課題もあったと思います。どのような課題がありましたか?

玉山さんまず現場監督のサポートから始めましたが、やはり土木業界ということもあり、女性は事務をしていればよいという感じで、なかなか女性を受け入れてもらえませんでした。そこが課題でしたね。ですが、自分からどんどん話しかけたりコミュニケーションを取って、専門的なことも根気よく聞き取り、資料を作成しました。そのうち認められるようになってきたな、と感じました。だんだん「男女」の壁は無くなってきたように思います。
周りの方からのサポートも増えてきました。このことが「Wプロジェクト」へ繋がっていったと感じています。

伊東副市長その方をサポートされながら、他の方へのサポートもどんどん行っていかれたということですね。
ちなみに玉山さんはお仕事は好きですか?

玉山さんそうですね。一部をサポートすることによって、皆が楽になり、例えば1時間早く帰れるようになったとか、役に立てて嬉しくなります。

伊東副市長やはり玉山さんが、仕事に誇りをもっていらっしゃる方だからこそ、分かり合えたのでしょうね。

伊東副市長茶谷さんはこのような課題に対してどういった取り組みをされていましたか?

茶谷さん「Wプロジェクト」に関連して、他にも地域貢献の一環として、幼児向けに手作りのパネルシアター、「うんちくんのだいぼうけん」を昨年から始めました。「下水道に興味や関心をもってもらう」「下水道の役割を知ってもらう」といった目標を掲げて、名古屋市や半田市の教育委員会の後援を受けまして、活動しています。
このパネルシアターも製作から、上演、運営まですべて女性スタッフで行っています。私自身の感触としては、女性は責任感が強く、任せられるとさらに能力が発揮されるように思います。

中林さん玉山が現場監督のサポートをしていた時に、最初は心を開かなかった現場監督が、最後に「玉山さんがいないと何もできないんだよ」とおっしゃって定年退職されていきました。よく心を開かせてくれたな、と思いました。その時に、女性も現場のチームに入っていける、という確信が持てました。
その後Tプロジェクトが立ち上がって、茶谷の1つ上の先輩がこれからというときに出産があり、茶谷が急にプロジェクトのリーダーに任命されて、「どうしましょう」と言っていましたが、任せた結果、毎日悩みながら頑張ってくれています。

4.取り組みによる効果

伊東副市長私としては、超過勤務を減らすことができなければ、男性も女性も一緒に活躍することはできないと思っています。お互いがうまく役割分担して仕事をすることで進められるものかなと思います。中林さんのような女性の方が取締役に就く、というのは大きいでしょうね。ちなみに、ここ数年で、会社としてどんな変化があったと思いますか?

中林さん振り返ってみて思うことは、社員が辞めなくなりました。少し前までは事務員は1~2年で辞めてしまっていました。でも、「Wプロジェクト」や「Tプロジェクト」を始めてかれこれ7~8年ほど経ちますが、「誰も辞めていない」ということに気づきました。もちろん結婚や家業を継ぐため等の退職はありますが、それ以外の自己都合での退職はなくなりました。そこが大きな変化ですね。
15周年の時、社員は25名だったのですが、その時に「全社員でハワイに行こう!」という話になるくらい、すごく仲がいいです。
もちろん役員の中でも色々意見がぶつかることがありましたが、お互いの意見を出し合ってコミュニケーションが取れるようになることで、私たち役員だけではなく、現場と事務員の間でも垣根が取れてコミュニケーションが取れるようになったと感じます。
たとえば、「おはよう」と言っても返事をしない社員がいたら、陰で「あの人挨拶しないよね」と言っていたのが、その場で「挨拶返してね」と言えるようになった、という変化がありました。

伊東副市長玉山さんは、何か意識に変化がありましたか?

玉山さんそうですね、入社した時は男性、女性と分かれていた感じがしましたが、本当にいろんなお話をすることによって、お互いに信頼関係ができ、コミュニケーションが取れて、会社の雰囲気が良くなったと思います。

伊東副市長50名社員がいらっしゃって、女性の方は何割くらいですか?

中林さん2割です。建設会社の中では、女性の占める割合が多いと思います。
ちなみに、実は茶谷は入社して半年後くらいに「辞めたい」と言ってきたんです。

伊東副市長そうなんですね。辞めることを思いとどまった理由は何でしたか?

中林さん辞めたいと茶谷が言った理由は、本人は恥ずかしいだろうから伏せますが、茶谷に「私を納得させたら辞めていいよ」と言いました。すると茶谷は、「お母さんが辞めて良いと言ったから辞めます」と言ってきたんです。それを聞いて私は、「だったら私があなたのお母さんに会いに行く」と伝えました。茶谷をずっと預かって育てていきたいと思って入社してもらったのに、「辞めても良い」と言われるのは困る!とお母さんに言おうとしました。結局その時は思いとどまってくれて、今では弊社のエースとして頑張ってくれています。

5.女性が働くにあたり工夫している点

伊東副市長色々あったのですね。
女性が働くというところで、茶谷さんご自身が工夫したことはありますか?

茶谷さん今までその現場は男性スタッフしかいなかったので、やっぱり作業も男性目線になっていました。しかし、自分の目線から、「女性が作業する」ということを考慮して、扱いやすい使用機材の導入や改良など工夫したことで、新たにカメラオペレーター希望の女性が入社しました。女性目線で作業を見直すことで、女性だけではなく、男性スタッフの負担軽減にも繋がっていると感じます。

6.女性活躍推進を進めていく企業へのメッセージ

伊東副市長女性の数が多ければ良いというわけではなく、いろいろな会議やプロジェクトに女性を入れていくのが良いのではと思っています。実際名古屋市も女性管理職は14%しかいません。私自身、それはおかしいと思っています。自治体の仕事は市民の皆さんと関わる仕事であり、市民の皆さんは男女両方いますが、自治体で働く側が男性目線だけでは良い仕事はできません。男女両方の視点が必要です。そういう意味で、管理職の女性を増やさなくては、と感じています。
では、茶谷さんから、これから女性活躍に取り組む、または取り組みを進めている企業にメッセージをお願いします。

茶谷さん建設業はやはり男性の数が圧倒的に多いのが現状で、女性が活躍しにくいと感じてしまうかもしれませんが、
実際に私たちはこのプロジェクトを通じて活躍できる場があり、このような新たなプロジェクトは今後の建設業界の形を変えていけると感じています。もし、建設業に入ろうかと迷っている女性がいたら、是非心から勧めたいと思いますし、企業の皆さんも様々な職域として女性の可能性を広げていくのが良いのではないかと思います。

中林さん今茶谷は結婚していて、通常8:30勤務なのですが、7:30に出勤し、1時間早く帰る早朝時差出勤をしています。そうすると、早く帰って家事ができますよね。また、茶谷の1つ上で育休明けの社員がいるのですが、彼女は時短で15:30に帰っています。いろんな働き方があって良いと思います。

伊東副市長そうですね。ここで働きたいという強い意思があれば、ルールを作り色々工夫して働きやすい環境を作ることができますね。それでは玉山さんからメッセージをお願いいたします。

玉山さん私は女性の活躍はもちろんなのですが、弊社は社員みんなが活躍できる会社ですので、求職者の方がいらっしゃったら是非一緒に働きましょう、と伝えたいです。

伊東副市長ありがとうございます。では、最後に中林さんからメッセージをよろしくお願いいたします。

中林さんはい。企業主導型保育所というものがありまして、まだ認可が下りてないのですが、今後は会社の中に保育所を作って、子育てしやすい環境を整えていきたいと思っています。「社員の子どもを社員で育てる」そういう環境を会社の中で作りたいです。今は本当に育児が大変な時代であると思っているので、楽しく育児ができて、楽しく働けて、楽しく人生が送れるように全社員総活躍の職場作りを、目指していきたいと思います。
性別や障がいを持っているかどうか等は関係なく、互いに分かり合えるかどうかはその人と目線を同じにできるかどうかだと思います。

伊東副市長おっしゃる通り、性別や障がいを持っているかどうか、ではなく、その人を理解してあげること、その人に合わせてあげることが大事ですね。
先ほど時差出勤をされているとおっしゃっていましたが、リモートワークなども活用して、家庭内でパートナーと「出来る方がやれば良い」と役割分担できれば、今はちょうど女性の活躍推進のチャンスじゃないかと思います。
そういう意味では、役所と比べると民間企業は環境の変化に対する取り組みが素早いですよね。

これから本当に人口が少なくなって、若い方が少なくなっていく中で、男性とか女性とか言っていられないのだろうな、という風に思います。
是非この地域で頑張っている方たちがいて、「意欲を持って活躍できる会社がある」ということをアピールしてほしいです。私たちからもいろいろ女性活躍推進企業のPRをしていきたいと思います。
ありがとうございました。

名古屋市スポーツ市民局市民生活部男女平等参画推進室
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