スペシャル対談

ナゴ女応援!サイト特別企画 杉野副市長×女性の活躍推進企業 従業員部門表彰者 スペシャル対談ナゴ女応援!サイト特別企画 杉野副市長×女性の活躍推進企業 従業員部門表彰者 スペシャル対談

名古屋市の「女性の活躍推進」を担当する杉野副市長が、令和2年度「女性の活躍推進企業」従業員部門表彰者と対談いたしました!
社会保険労務士法人太田労研の鎌田史子さんと、菱信工業株式会社の板野幸枝さんがお話してくれました。

1.自己紹介

杉野副市長女性活躍はまだまだこれから進めていかなくてはいけない分野になります。ですから、企業で活躍されている女性にお話を伺って、これから頑張ろうと思っている女性の後押しになればと思っています。是非色々とお話を聞かせてください。
まずは、簡単に自己紹介をお願いします。

鎌田さん名古屋市北区に事務所を構える、社会保険労務士法人太田労研の鎌田史子です。勤続は18年になります。はじめは週2~3日働く、パート勤務からスタートしました。入社8年で正社員になり、5年前に管理職になりました。

板野さん菱信工業株式会社 経営企画部の板野幸枝です。名古屋市立工芸高等学校で建築を学び、卒業してそのまま新卒で今の会社に入社しました。その後約8年現場監督として働き、結婚・出産を経て、育児休暇から復帰後は経営企画部に異動しました。現在は2歳の子どもを育てながら、時短勤務しています。
弊社は、主に大型冷凍機などの空調・衛生設備の保守および設計施工を事業としています。私は経営企画部の採用担当として現場の魅力を学生に伝えるお仕事や、社内制度を整えたり、慰安旅行、年始会など社内イベントの運営なども行っています。

杉野副市長ありがとうございます。私自身このような機会をいただけて、皆さんとお話できることをとてもうれしく思っています。
どうぞ気楽にお話くださいね。
ちなみに鎌田さん、パートから正社員になるのは、人生の大きなターニングポイントですよね。きっかけは何かありましたか?

鎌田さん正社員になる、というお話をいただいた時は、子どもが中学生、高校生となり子育てが落ち着いてきていたため、仕事ももっと挑戦したいと思いました。当時弊社では、パートから正社員になるのは私が初めてでしたので、不安もありました。しかし、社員になると責任も増えるけれど、やりがいがあるだろうと思いました。

杉野副市長鎌田さんのお気持ちとしては、戸惑いもありながら、やりがいもあったということですね。
板野さんは技術職で、やはり周りの方は男性が多いでしょうけれど、学生の時も男性が多かったのですか?

板野さんはい、建築学科に入学しましたので女子生徒は少なく、ほとんど男子生徒に囲まれていました。
弊社に入社してからも、女性は事務職や総務などの職種が多いので、現場はまさに男社会でした。

杉野副市長そうなんですね。学生の時と社会人の時では、同じ男社会でも違うものがありましたか?

板野さんそうですね。学生の時は「同級生の男子生徒」という形で気軽に話もできていましたが、社会人になると縦のつながりも多くなり、役員も含め男性しかいない状況に戸惑いましたが、頑張ろう、と思って入社しました。

2.働くうえでの壁

杉野副市長ありがとうございます。
お二人とも働く上で壁に当たることもあると思いますが、どういった壁がありましたか?

板野さんどうしても女性ということもありまして、そもそも体格的に現場で重たいものが持てないということもしょっちゅうありましたし、最初のうちは男性の先輩に付いて仕事をしていたのですが、お手洗いに行くタイミングが掴めずに病気になってしまったり…。他の失敗も何度もありました。
そのたびに周りの方に助けてもらい、一つ一つ乗り越えていって今があります。

特に当時の上司には、数えきれないくらい助けてもらいました。課題に対して一つ一つ向き合ってくれたおかげで今があると思っています。
18歳の女子が突然現場に来て指揮を取ろうと思っても、やはり周りもどう接したらいいのか分からなかったのか、私の指示をきちんと聞いてくれませんでした。その都度、上司や先輩が助けてくださいました。

杉野副市長上司の方や先輩に助けられたのですね。
鎌田さんはいかがでしょうか?

鎌田さんパートから正社員になったときに、社員は私含め2名と所長だけでした。毎日が模索の日々で、分からないことだらけでご迷惑をおかけすることもたくさんありましたが、所長にすごく助けてもらいました。
分からないことが多いため、お客様からお電話があってもうまく対応できないことも多かったのですが、後輩が入って、以前自分が教わったことを後輩にきちんと教えることができたときに1つ壁を越えた、自分は上のポジションになったんだと感じました。

杉野副市長課題を一つ一つクリアしていったんですね。そのように挑戦していくには、下準備だったり、陰で努力することもありましたか?

鎌田さんはい、分からないことを調べても、腑に落ちないと自分のものにはならないと思っています。分からないことは徹底的に調べ、自分の腹に落としてから次にいく、そういった形で課題をクリアしていきました。

板野さん私も同じように後輩ができたときに自分が成長できたと思いました。弊社にはメンター制度というものがあり、新人一人ひとりに先輩が付く、というシステムを取り入れています。私にも直属の後輩ができました。私が先輩に教わったことを後輩に教えることができたときに、成長できたのかな、と感じました。

杉野副市長自分の仕事を誰かに語る、という行為は、自分の仕事をきちんと消化していないとできないことだと思います。まさに努力は一日にしてならず、ですね。

3.ロールモデル

杉野副市長では、お二人が女性として活躍されるにあたり、ロールモデル・目標とした方はいらっしゃいましたか。また、その方のどのようなところをモデルとしましたか?

鎌田さん男性ですが、太田所長です。
やはり一生懸命仕事をしていても、ミスは起きてしまうと思いますが、所長はすごい方で、私がミスをしても怒らないんです。何年も一緒にいて、一度も怒ったところを見たことがないくらいです。部下がミスをして怒る、ではなく「どうしたら次同じようなミスを起こさないようにできるか?」とミスを防ぐ方法を一緒に考えてくれます。尊敬できる上司です。

杉野副市長そういう姿勢は見習いたいですね。鎌田さんは「大事なものは何か」をその所長さんから獲得されていますね。

板野さん私も女性では無いのですが、私に現場仕事のノウハウを教えてくれた会社の先輩を目標としていました。仕事に対する姿勢や、周囲との関係構築、常に上を目指す姿を間近で見ることができました。その人に認められたい一心でがむしゃらに働いていた時期もありました。
その先輩の姿を見ながら、見積もりからお客様とのやりとりまで一通りできるようになって初めて、仕事を楽しいと感じることができるようになったと思います。

杉野副市長では、一番やりがいを感じる瞬間、というものはどういった時ですか?

鎌田さん職員一人ひとりに担当のお客様をつけており、色々と対応させていただいているのですが、お客様に“ありがとう”と言われた時がやはり一番やりがいを感じます。

板野さん現場監督の時は、何人もの人が関わって、一つのものを作り上げられた時です。関わってきた建物や物件がきちんと出来上がってお客様に納品する、竣工といいますが、竣工の瞬間を迎えるたびに、達成感を得ていました。
お客様にも喜んでいただけますし、私自身も「すごく頑張ったね!」と自分を褒めるようにしています(笑)

杉野副市長きちんと仕事で達成感や、やりがいを得ているのですね。自分で自分をきちんと褒める、コントロールする、それはすごく大事なことです。
ちなみにお二人はご家庭やお仕事で忙しい中で、自己コントロールを、モチベーションやメンタルコントロールも含め、どのようにされていますか?

鎌田さん数年前に大病をして休職しました。当時は仕事を頑張りすぎていたと反省しました。仕事以外を疎かにしてしまっており、自分の体調を鑑みていませんでした。
今は仕事と家事のバランスを取ろうと思っています。健康が第一だと実感したので、体調にも気を付けながら仕事をしています。

杉野副市長仕事人生は長いので、常に100%でいると大変ですよね。エネルギーの出し方はその時々で少し変えていった方がいいなと私も思います。

鎌田さん健康でいないと逆に迷惑をかけてしまうこともあると分かったので、仕事は頑張りますが、配分はきちんと考えようと思っています。

板野さん私は、独身の時はがむしゃらに仕事をやれていた自負はありますが、今は結婚して子どももいて、「ビジネスパーソン、妻、母親」の3役をこなさなくてはなりません。すべて頑張りたくなる性格なのですが、育休から復帰したある時、家でワーッと泣いてしまったことがありました。その時にこのままではいけないな、と思い夫に相談しました。
私は今こういう仕事をしていて、ここまで仕事を頑張りたい、そのためにどうしたい、といったことを夫に相談することで、理解してもらえて、より家事や育児を協力しあえるようになりました。その後、社長にも相談しました。家庭も大事にしたいけれど、もちろん仕事も頑張りたいということをお伝えしました。社長からは、もちろん、あなたが頑張りたいように頑張ってほしい、とお言葉をいただきました。
今後は壁に当たる前に、人に相談しようと思いましたので、今はそこを心掛けてなるべくストレスをためないようにしています。

杉野副市長きちんと言葉にしないと伝わらないことの方が多いですよね。コミュニケーションを取ることが大事ですね。特に組織だとそうだと思います。お二人はきちんと実践されているんですね。
男性だから、女性だからという分け方はすべきでないと思っていますし、女性だけでなく、組織として全体を引き上げていかなくてはいけないと思っています。しかし、まだまだ女性が組織の意思決定にあまり関与できていない現実もあると思います。

4.メッセージ

杉野副市長お二人とも、働く女性、これから働く女子学生へのメッセージをお願いします。

鎌田さんかつて弊社では、社員が一気に退職してしまったときがあり、自分の後任がいない状況で仕事を頑張っていました。しかし、自分が頑張りすぎると後輩や部下がプレッシャーを感じてしまうと分かりました。また、自分があまり仕事を教わっておらず、手探りで仕事をしていたということもあり、後輩には逆に、相談された時はきちんと丁寧に対応していこうと決めています。一旦手を止めて、話を聞こうと心掛けています。もちろん忙しくてついできないことも多々ありますが…。こういう風に、相手のことを想って働くと、「あの人みたいになりたい」と目指してもらいやすいと思います。

ただ、人によって人生のバランスは違うので、正社員やパートという働き方にこだわらなくても、自分の好きな働き方をすればいいと思います。

板野さん私も鎌田さんのお話にすごく共感しました。私も「女性第一号」と言われることが多いため、仕事をすごく頑張っていたので、後輩にも同じように頑張ってほしいと、求めすぎてしまうこともありました。でもそれは違う、と最近は理解しています。
その人にはその人の働き方の選択肢や得意不得意があるので、どのくらい頑張って働くかは人それぞれです。みなさんが働きやすい会社にしていく必要があると思っています。
「女性がいきいきと働く会社」というのは、必ず発展していくと思います。頑張っている女性を見て、男性に「俺も頑張らなきゃ」と言ってもらえたりしますし、誰かに良い影響を与える存在になれると思います。
女性がいきいきと働ける職場が増えていくことを願っています。

杉野副市長女性初だったり女性第一号と言われて、気負って仕事をされてきたということもあると思いますし、これからもそのように働く可能性はあると思いますが、お二人がいきいきと働いている姿を見せることで、「一緒に頑張ろうかな」と思ってくれる仲間を増やしていくことは良いことだなと思います。

色々なことを乗り越えられてきたお二人だからこそ、分かる景色や想いがあると思います。
私自身も、そんなお二人とお話をして、力をもらった時間でした。貴重なお話をありがとうございました。

鎌田さん板野さんありがとうございました。

名古屋市スポーツ市民局市民生活部男女平等参画推進室
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