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2023/01/20

#7 子育て×キャリア。私らしい管理職を目指す。

こんにちは。名古屋市男女平等参画推進室の榎本です。
名古屋市では、女性管理職向け勉強会を行っています。
今回は、この勉強会を受講された、大有建設株式会社の青木さんにお話をうかがいました。

大有建設株式会社 総務部 人事総務課 青木真琴さん

1984年生まれ。名古屋市出身。大学卒業後、大有建設株式会社へ入社。新入社員時に配属された総務部にて現在まで変わらず勤務中。入社10年目(2017年)で育児休業を取得し、長男の育児休業中に長女を妊娠した為、育児休業を再度取得し2020年に職場復帰。現在は時短勤務中。
夫・5歳の長男・3歳の長女の4人暮らし。市内在住。

(-は榎本が発言)

建設業なのにトマト栽培。そしてトップダウンで女性活躍推進に取り組む。

-総務部に勤務されているんですね。どんなお仕事をされているんですか。

青木さん:
入社時より社員の給与計算業務をメインで行い、社会保険業務や新入社員教育、株式関係業務等を行っています。現在は給与計算や社会保険業務のメイン担当は後輩へ任せ、私はその確認業務や会社の規程の改正等のワーキンググループ(以下WGとします。)でWGリーダーを任されています。

-御社は建設業なんですね。どんな会社か教えてください。

青木さん:
当社は創業94年の総合建設会社で、主に道路の舗装工事を行っています。東海海地区で初めて道路舗装の研究所を開設し、環境保全や安全性耐久性の研究開発に取り組んでいます。また、3年ほど前から高糖度トマトの栽培事業を開始しました。


  ↑高糖度トマト栽培の様子と収穫したトマト

 

-建設業なのに、トマト栽培をされているんですね!

青木さん:
愛知県豊田市猿投(さなげ)町にある当社の広大な敷地の一角で栽培しています。道路事業はこれまでも長い間やらせていただいていて安定的ですが、それで満足することなく、新規事業をやってみようという流れがあり、始まりました。現在はトマトの取引先は法人のみですが、そのトマトを当社本社のある金山駅に入っているスーパーマーケットに卸していたりして、新たな取引先ができています。
このトマト、本当に甘いんです。社員は1キロ単位で購入ができるんですが、我が家は子どもが大好きで、2週間に一度定期便で購入しています。

-ママの会社で作ったトマトだよ、って子どもに言えるのは、すごく素敵ですね。

-御社は、令和3年度に名古屋市の女性の活躍推進企業に認定されていますね。御社の女性活躍推進への取り組みについて教えてください。

青木さん:
少子化による労働力不足の中、優秀な人材を確保するために、また、多様性を取り入れて移り変わりの激しい社会で存続するために、近年、トップダウンで女性活躍推進を進めるようになりました。
少しずつではありますが、女性技術職の方の採用も増やしています。
また、これまでも行っていた「女性の安全パトロール」は、この12月から、普段現場に出ることのない内勤の女性社員も行うことになりました。普段から現場の事をよく知っている現場員の目線ではなく、現場を知らない・女性目線での新たな気づきにより現場の安全や職場環境の改善、さらにはお互いの意識改革につながることを期待しています。
他には、昔と違い今は男女共働きが当たり前の世の中になったので、当社の規程も時代に合った共働きを意識した賃金改定を行いました。
なお、これからの話になりますが、初の女性管理職を登用していきたいと考えています。

-「女性の安全パトロール」は、内勤の女性社員も行うのですね。

青木さん:
実は明日(インタビューをした日の翌日)、「女性の安全パトロール」があり、私も参加してきます。私自身入社してから現場に行く機会がなくて、現場員の方に大丈夫か、と聞いたら、「ここが危ない」や「ここが汚い」などの女性目線での気づきが欲しいと言われました。女性社員の大半は現場に行く機会がないので、よい経験になり、人事交流にもなると思っています。


  ↑安全パトロール中の内勤の女性社員たち
   (両写真ともに左から2番目が青木さん)

 

時短勤務の管理職でいいのでは。その言葉が後押しに。

-女性管理職向け勉強会で、青木さん自身、会社から今後女性管理職へのステップアップになることを期待されて参加した、と言われていました。チャレンジしてみようと思ったきっかけを教えてください。

青木さん:
実は上から、「管理職に興味があるか?」という話をされた際、自分が管理職ってイメージが湧かないし無理だと言ったんです。身近な女性管理職のロールモデル(=自分の行動や考え方など、キャリア形成の上でお手本になる人物のこと)がいなくて、自分より年上の方や男性社員の上司になるのは想像がつかなくて…。そもそも時短取得中なので難しいと答えたところ、上から、「時短勤務の管理職だっていいのでは?そういう管理職をつくっていけばいいのでは?」と言われたんです。
それを聞いて、「あ、そうか」と思えて、そういう人がいてもいいのかなと思いました。

また、自分のキャリアアップという面だけでなく、頑張っている後輩たちが人生のキャリアアップをしていく中で、「子育てしながらでも管理職になれるんだ」と思ってもらえたらいいな、という思いもあります。もし管理職になれなくても、スキルアップのために新しいことに挑戦して頑張っている姿を後輩に見せられたらいいな、という思いもあって、結果一歩踏み出すことにしました。

 

ワーキンググループ(WG)リーダーの壁を、対話を重ねて乗り越える。

       ↑女性管理職向け勉強会のチラシ

-それで、女性管理職向け勉強会(オンライン、全3回)に参加されたんですね。受講してみて気づきや変化はありましたか。

青木さん:
WGリーダーをさせていただく事になり、会議体をまとめる役って大変なんだな…と実感していた頃にこの勉強会に参加しました。2回目の勉強会でエンゲージメント(=深い関わり合いや関係性)を高めるポイントは他者・自分・現象との対話だということ、目的を軸に対話を重ねることが大切だという事を教えてもらい、なるほど…とかなり刺さるものがありました。

またこの勉強会はオンラインですが、アフターフォローで、講師の先生に直接オンラインで相談できる制度があります。2回目の勉強会の後、この制度を利用した際、先生に、「人にお願いしたり、仕事を割り振ったりするのが苦手だ」と相談したところ、「困っていることはメンバーに話してみたら、得意な人がいるかもしれないじゃない?こういうことが苦手とか言ってみたら案外それは得意だよと引き受けてくれる人がいるかもしれないよ」とアドバイスをもらいました。

実際WGで、「今時間的にいっぱいいっぱいで、できそうにないのですがどなたかお願いできる人いないですか…」と言ってみたところ、「やるよ!」と言ってくれた先輩が いました。
少し緊張しましたが、学んだことや教えてもらったことを実践してみたところ、物事が解決し、自分だけがやらなきゃいけないと勝手に思い込んでいたんだなと気づかされました。 

  ↑勉強会の様子。グループワーク中の青木さん。

 

-WGリーダーの話、詳しくおうかがいしたいです。

青木さん:
さまざまな部署の社員から構成される「育児・介護及び時短勤務」のWGという会議体で、男性育児休業の促進や介護休業に対する課題、時短勤務についての検討をしています。WGの当初は「育児」について議論をしていて、男性が育児休業を取得する際、無給になると生活に支障が出て利用しづらいという結論になり、10日間の給与補償を会社に提案することになりました。会社の負担を算出するための賃金計算など個人情報がかなりあるため、必要な作業は人事の私が引き受けたこともあり、メンバーは意見を言ってくれる人、リーダーは意見を受け止めていろいろ作り上げていく人なんだな、と思っていました。

11月からテーマを「介護」にシフトした際、最初に社員の介護休業に対する意識調査をしようという事になったのですが、私は部署柄、年末調整で12月までが本当に忙しくて、それをやる余力がまったくなくて悶々としていたんです。そんな時、勉強会があって、先生にこの悩みを相談しました。「きちんと話をして、最終的にこういうことをしたい、でも私は苦手だとか私は時間がない、という問題点をちゃんと伝えてみて」「みんなでやっているんだから、他にできる人いませんか、って聞いていいんだよ」「自分ができないって認めていいんだよ」、と先生に言われました。「なるほど!」と思い、みんなに言ってみようと思いました。

メンバーに、自分が今一番佳境の時期であること、アンケートの作成をして発信していく準備をしていかないとWGが進まないことを伝え、私ではそれまでにとてもアンケートを作ることができないから誰か手伝ってほしいと言いました。すると先生が言っていた行動を周りがしてくれたんです。きちんと抱えている問題を言ったら、引き受けてもらえました。

自分の問題をきちんと話すことで、相手が理解してくれて。じゃあ、ゴールを少しずらしたらいいんじゃないということになり、ここまではみんなでやろう、最終的なまとめは私がやろうということになり、協力してくださって。こういう対話を重ねるということがすごく大事だと思いました。勉強会に参加して、先生に相談する機会をいただいて、本当にいい経験になりました。

 

異業種との交流。さまざまなロールモデルに出会う。

  ↑勉強会3日目終了後の交流会の様子。一番上、一番右が青木さん。

 

-私自身にとっても、大変勉強になるエピソードです。勉強会の参加者の方の関わりはどうでしたか。

青木さん:
私の身近に、女性管理職のロールモデルがいなかったので、いろいろなロールモデルに出会えて、異業種の方のお話を聞けたのは、本当によかったです。
まとめるのがとても上手な方や、マインドマップ(=頭で思い描いたものを図式で表現するための手法)をやっている方がいて、すごい!と思いました。印象的だったのは、皆さん、「とにかく聴く」と言っていたことです。皆さん、自分より年齢の上の部下を持っているので、「こうしなさい」は通用しません。話をしてくれる人間関係を作るためには、やっぱり対話が大事だなと思いました。家族でも対話しないと分からないことばかりですし(笑)。とにかく聴いて、自分の中で整理した上で、思いや意見を伝えるようにしないと。会話途中でかぶせて意見をいっちゃだめだなと思いました。
勉強会の後は、うんうん、とうなずきながら、他の人の話をちゃんと聞くように心がけています。
それが子どもに対してできたら一番いいんですけどね。日々家事育児の時間に追われて、なかなか余裕がなくて…。

 

仕事と家事育児と。時短の工夫と周囲の助けが重要です。

-子どもへの傾聴、なかなかできないですよね。青木さんの一日のタイムスケジュールを教えてください。

青木さん:
一日の流れは、だいたい次のような感じです。

-平日の家事育児の分担を教えてください。

青木さん:
夫は出社時間がとても朝早く、帰宅は子どもが就寝して以降のことが多いので、平日の家事育児は私が中心に行っています。私は時短勤務のため退社時間は早いのですが、子どもが午後8時頃には寝るので、意外と時間の余裕がありません。ゆっくり子どもの話を聞けるのは一緒にお風呂に入る時間くらいでしょうか。
とはいえ、夕食を頑張りすぎない、時間短縮のためにドラム式洗濯乾燥機や食器洗い乾燥機を導入するなど、いい意味で家事の手を抜くようにしています。また、近くに住んでいる私の実家の母に、仕事でどうしても早く帰れない時は子どもたちのお迎えをお願いしたり、夕食を食べていっていいよと言われれば遠慮なく食べて帰るなど、私の場合、周りの助けがあって、仕事と家事育児が成り立っていると思います。

-平日は仕事と家事育児に追われる中、いろいろな工夫をし、周りの助けもあり、両立されているんですね。休日はどんな過ごし方をされていますか。

青木さん:
どうしても土日のどちらかは次の週の買い出しに行かなくてはいけなくて、丸二日子どもと遊ぶことは難しいですが、平日は保育園に行っていて子どもたちと過ごす時間は限られるので、土日のどちらかは、なるべく子どもと遊ぶようにしています。
男の子と女の子なので、公園に行ってもなかなかやりたいことがお互い違い、下の娘はまだ一人では遊具も遊べなかったりするため、夫と一緒に行ける時は行ったり、私は家の事をやっている時間に子どもたちを公園に連れて行ってもらったりしながら、過ごしています。休みの日の朝はのんびり寝たいな…と思っていますが、子どもたちはいつもと変わらず6時前に必ず起きて、もう朝だよー!お腹空いたし起きようよー!と言ってくるので、土日も平日と変わらず平常運転の我が家です。でも、休日の食事は基本的に三食夫が作ってくれるので、そこは楽をさせてもらっています。

-休日6時起きキツイですね…(笑)パートナーが休日の食事を!うらやましいです。


  ↑青木さん家の休日ごはん。どれもおいしそうです!

 

モットーは子どもたちをなるべく早く寝かせること!

-モチベーションを保つために実践していることはありますか。

青木さん:
器用なほうではないので、ONとOFFを切り替えるようにしています。子どもを産む前は、そこまで考えることもありませんでしたが、いい意味でも悪い意味でも、色々と時間に制限があります。子どもを送れば完全に仕事モードで正直仕事中は、ほぼ子どもの事は考えていません。(保育園や幼稚園の先生方がとてもいい方ばかりで、信頼して預けていますので…)
ただ、子どものお迎えの時間はあるので時短勤務をさせていただいていますし、突発的なことがない限り残業はできません。時間になれば仕事の事は一切考えず子どもと家の事!と、かなり割り切って生活するようになりました。(とは言え、何か仕事で問題が生じていたりすると頭をよぎることはありますが…笑)

夫の帰りを待たずに子どもと一緒に寝てしまう事もしばしば…。でも、子どもたちをなるべく早く寝かせる!は私の中のモットーなので、一緒に早く寝て睡眠時間を長く確保することで、次の日も朝からやるか!!とスタートできていると思います。

あとは、管理のうまい人の真似をしてみるということもありますね。取り入れてみると、自分に合わないこともありますが、業務効率が上がることの方が大体多いです。そういう人たちから学ぶことはモチベーションが上がります。

 

家庭・子どもとの生活を大切にしながらキャリアアップしていきたい。


  ↑職場で勤務中の青木さん。デスクのパソコンの前にはお子さんの写真がありました。

 

-最後に将来、自分がどうなっていたいか、教えてください。

青木さん:
今は、管理職の機会があったらなってみないか、という程度で将来どうなるか分かりませんが、管理職に必要な資格もあるので、育児の隙間時間を見つけて、少しずつ勉強していきたいと思っています。

忙しい日々ではありますが、子どもが、「ママお仕事頑張っているもんね」と言ってくれるときがあります。時間がない、さびしい思いをさせるだけではなく、子どもにとって、「仕事をしているお母さんっていいよね」と思えるような存在でありたいです。

キャリアアップしたから子育てより仕事を優先するのではなく、子どもとの生活を大切にしながらも会社でのキャリアアップをしていきたいです。また、それを望んでもいいのかな、という雰囲気が会社の中にあります。時短勤務の管理職や、管理職手前のチームリーダーをしながら、次の世代のモデルケースになっていたいです。

あとは、管理職でなくても、相談してもらえる立場にいたいです。上司からも後輩からも頼りにされる存在になっていたい。そこにもしチャンスがあって管理職になれるならば…という感じですね。

-後輩のロールモデルに、管理職に、そのための準備をされていくんだな、というのを感じました。今後の青木さんのご活躍を応援しています。

 

~インタビューを終えて~
実は私自身、近いうちに係長級になるということもあり、子育て中で、年齢が40歳で青木さんと近いこともあり、いろいろ共感してお話を聞かせていただきました。(記事にはしていませんが夫の愚痴大会も楽しかったです笑)
また、青木さん自身の勉強会やWGでの経験談は、私にとって非常に勉強になり、私も頑張ろう!と励みになりました。
青木さん、ありがとうございました!  

名古屋市スポーツ市民局市民生活部男女平等参画推進室
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