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2024/01/24

Vol.7 壮絶だった双子の育児を乗り越えたことで 妻とはより良いパートナーになれました。

令和5年版の男女共同参画白書では、男女双方が現在の働き方を変え、女性の社会での更なる活躍、そして男性の更なる家事・育児の活躍を追求することが、男女共同参画社会の実現につながると述べています。今回は、男性の育児参加のロールモデルとして、育児休暇を2度取得し、4人の子育てに奮闘している名古屋市役所の伊藤大輔さんにお話をお伺いしました。

伊藤大輔さん
名古屋市役所職員
助産師の妻と長男(8歳)、長女(5歳)、二男(5歳)、三男(2歳)の6人暮らし。双子の妊娠をきっかけに育児休暇を取得することを決意。双子の時に1年間、三男のときに半年間と2度の育児休暇を取得。長男と一緒にピアノを習いはじめたほか、趣味はテニス・釣りなど。

厚生労働省「イクメンプロジェクト」にて第23回イクメンの星にも選ばれました!
https://ikumen-project.mhlw.go.jp/employee/star/list/detail/#star23

「1カ月だと、本当に大変なところがわからない」
妻の言葉に1年間の育児休暇を取得する決意をしました。

―育児休暇を2度取得されていますが、きっかけを教えてください。
長男のときは育休を取る男性は周りにいなかったし、僕自身、男性が育休を取るというイメージも全くありませんでした。妻にお任せしていましたが、それに対して何の疑問も抱かなかったと思います。でも、次が双子だということがわかった時、「育休を取れる制度があるなら取って、一緒に育児をしていきたい」と言われました。僕も漠然と双子の育児は大変だろうなと思っていたため「1カ月だと子どもの可愛いところだけを見て仕事に戻ることになるので、本当に大変なところがわからない」という妻の言葉に、1年間取得することを決意しました。後に妻から聞いたところ、僕を教育したいという思いもあったようです(笑)。

―「1年間の育休を取りたい」と言ったときの上司の反応は?
「給料が下がるけど大丈夫?」と仕事の割り振りとかではなく、給料のことを心配してくれて救われました。当時の職場は子育てを終えている方も多かったので「双子は大変だから、1年しっかり育児してね」と、温かく送ってもらいました。上司や職場に恵まれていて、本当にありがたかったです。

―育児に携わっていく中で、何が一番大変でしたか?
双子が産まれてガッツリ家事育児に関わることになるのですが、中でも大変だったのは夜泣きです。1人が起きると寝ている子も連鎖で起きるため、夜、眠れなかったのが一番辛かったですね。
長男のときもオムツ替えをしたり、ミルクを飲ませたり、楽しくやらせてもらっていました。でも、オムツ替えにしても僕はおしっこの時に替えるぐらいだし、泣いたら「ママじゃないとダメだね」と代わってもらったりして、今思えば表面的なことをやっていただけ。家事もやっていないのに、自分ではやっていると思いこんでいて、“なんちゃってイクメン”でした。

―解決策を教えてください。
最初は時間を決めて交代制にしていましたが、結局「そっちの番なのになんで起きないの?」とお互いにイライラする日々が続いたため、男の子は僕、女の子は妻という担当制にしました。部屋を分けて、僕と男の子2人で寝て、夜泣き対応は全部それぞれがやることにしたら少し改善されましたが、やはり大変で…。そんなとき「赤ちゃんの時間割」という本に出会いました。子どもには1人で寝る力があるので、その力を出してあげれば夜泣きもなくなるし、1人でねんねができるという内容なのですが、2人で勉強してセルフねんねに挑戦したら夜は夜通し寝られるようになり、負担がかなり軽減されました。

―それだけ、寝かしつけの負担が大きいということですね。
赤ちゃんは、夜しっかり寝ないと昼のリズムもおかしくなって、ミルクの飲みが悪くなるなど悪循環になるとその本に書いてありました。セルフねんねを実践したところ、しっかり寝るし、しっかり飲むし、体重もしっかり増えるし、うまく好循環しました。やはりリズムが大事ですね。

―一番の悩みが緩和されてからは、どういう毎日を過ごされていましたか?
昼間に2人で好きなところへ行ったり、僕が公園に連れて行って、妻には休んでもらったり、そこからはわりと楽しく過ごせたし、僕もママ友が増えました(笑)。毎日公園にいるので「休みですか?」と聞かれて「育休を取っています」と言うと「私も夫に育休を取ってほしかった」とみんな言っていました。その時に男性の育休を広めていきたいと思いました。

↑「育休を取得しやすい社会にするには、企業の働き方改革も大事。僕の場合は職場に恵まれていたので、本当に感謝しています」と伊藤さん。

 

当たり前に回っていくことを、毎日やるのはすごいこと!
妻から“家事の教育”を受けて成長できました。

―育休を取得して自分の中で変わったことはありますか。
そもそも家事育児をなめていましたね! 主婦は楽でいいと思っていましたが、考え方がガラリと変わりました。家事育児は女性がやるものだと思っていたけれど、毎日、当たり前のように日々の生活を回していくことが、本当にすごいことだと思いました。僕自身、家事が全くできなくて、洗濯機の使い方を知らなかったし、ご飯も作れないし、掃除もあまりしない感じでしたが、2人で協力していかないと回らないので、育休中に一通りの家事を教育してもらいました。自分も家事育児に積極的に関わることができるようになり、すごく成長できたと思っています。妻からも少しだけ認められたし…(笑)。

―家事育児は分担制ですか?
育休の間は2人で一緒にやっていましたが、復帰してからは担当制にしました。僕はお風呂掃除や家の掃除、洗濯を担当。料理系は妻にお任せしています。忙しいときはお互いにカバーしていますが、基本は洗濯物がたまっていても妻はやらないし、キッチンに洗い物が溜まっていても僕は手を出しません。

―暗黙の了解というか、2人のリズムができてきたという感じですね。
そうですね。例えば、洗濯物を裏返して干して欲しいママと、別にどちらでもいいパパがいたら揉めますよね。「だったらやらない」ということになりがちですが、わが家ではどんなやり方でも相手の裁量に任せて、文句は言わないことに決めているので、そこもうまくいっている理由かなと思います。

―その後、4人目のお子さんが産まれます。
双子ですごく鍛えられたおかげでとても楽ですね。公園に行ったら子ども4人が散らばったりするので大変ですけど、顔見知りのお母さんが「●●君、見ているね」と言ってくれるので助かっています。育休中も公園に行けば誰か知っている人がいるので、おしゃべりできたことで息抜きになりました。やはり、ご近所コミュニケーションは大事だと思います。

↑育休後は飲み会や趣味のテニスもセーブし、家族中心の生活にシフト。家族の絆も深まりました。

 

双子の育児には男性の育休が必須だということを
発信していくために「イクメンの星」にチャレンジ!

―双子のサークルを作られた経緯を教えてください。
熱田区役所が主催している「チェリーキッズ」という多胎児支援のサークルがあるのですが、最初に妻と参加したとき、男性は僕しかいなくて「育休を取っています」と自己紹介したら拍手喝采でした(笑)。それだけ多胎児の育児は大変だということですよね。チェリーキッズは2カ月に1回の開催で、そのときに子どもの病気などで行けなければ、次は4カ月後になります。でも、双子ならではの悩みがあるので「もっと話したいよね」「だったら作ればいいよね」ということになり、妻が主になって双子サークルを作りました。家に双子のママたちを呼んでおしゃべりしたり、一緒に公園に行ったりするだけですが、交流を深めて双子の仲間を作っていきました。

―「イクメンの星」に応募したのも仲間作りの一環ですか?
知り合いがイクメンの星に選ばれ、勧めてもらったことがきっかけです。「双子が生まれたら迷わず育休」というタイトルでスピーチをしましたが、それを発信していきたいなと思っていたので、応募することを決めました。スピーチでも言いましたが、双子仲間15組中、育休を取っているのは僕だけでした。中には双子の育児中にうつ状態なった人もいます。多胎児には男性育休が必須だと常々思っているので、自分がこの言葉を発することで少しでも男性や社会の意識が変われば嬉しいですね。

↑得意な家事は洗濯。重曹を使ってつけ置き洗いするなど、手間ひまかけているそう!

 

妻にとっても育休が人生のキーポイント
経験を生かした仕事にキャリアシフトしました。

―2人で家事育児をしていく中で、お互いのキャリアについての考え方が変わっていったのでしょうか?
妻は病院で働いていたので、当然夜勤もあります。でも、自分の子どもとしっかり関わっていきたいという思いがあり、病院は辞めました。今は、自分でやれることをやっていこうと、助産院を開業し、出張専門という形で沐浴の指導をしたり、講座を開催したりしています。助産院というと自宅で産むというイメージがあると思いますが、出産後のお母さんのケアに力を入れています。自分の体験も生かせるし、教育上手だし、妻に向いている仕事にキャリアシフトできていると思います。まさに、お互いにとって育休が人生のキーポイントになりました。

―ナゴ女たちにアドバイスを。
固定的な役割分担意識というか、お互いに思い込んでいるところがあるかもしれません。男性も家事育児ができる可能性があることを信じてください。そして、気長に教育するのも大事。話し合う時間を設けると、お互いのキャリアについて話すきっかけにもなるので、まずはコミュニケーションを取りましょう。本当は家事育児をやりたいと思っている夫が何をしていいのかわからなくてやれなかったり、逆に妻はやって欲しいけど気を遣って言えなかったりして、そこで食い違いが起きていることもあります。話し合えばもっと家事育児を分担できて、その分自由な時間ができ、その時間を利用して資格も取ることができますし、女性のキャリアを考える上でも、コミュニケーションが必要なのかなと思います。

―最後に、男性が育休を取るメリットを教えてください。
僕の場合は、一緒に家事育児をやってきたことで、妻とより良いパートナーになれたのが一番良かったと思います。双子育児という壮絶な戦いを乗り越えて今がある。妻とは「戦友になれたね」と話しています。

↑育休がキャリアを考えるきっかけに。奥さんは夢だった助産院を開業、伊藤さんも昇任試験に合格しました。

↑一日のスケジュール

↑長男と釣りに挑戦! 新たな趣味ができました。

名古屋市スポーツ市民局市民生活部男女平等参画推進室
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