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2023/02/17

#8 大学生×女性活躍推進企業。人生100年時代のキャリアを描く。

こんにちは。名古屋市男女平等参画推進室の榎本です。
名古屋市では、女性活躍推進企業と女子大学生の交流会を行っています。大学単位で行い、30人くらいの学生の方と、4社の女性活躍推進企業の社員の方が、パネルディスカッションとグループディスカッションをします。

今年度は、次の市内3大学で実施し、総勢100人近くの学生の方に参加いただきました。
・1回目:名古屋学院大学にて開催(令和4年11月2日実施)
・2回目:名古屋女子大学にて開催(令和4年11月9日実施)
・3回目:椙山女学園大学にて開催(令和4年12月13日実施)

今回は、交流会の様子のレポートと、参加学生さんへのインタビューを紹介したいと思います。

交流会って就職説明会と何が違うの?

実はこの交流会、今年で6年目になるのですが、榎本が書かせていただいているコラムの#3に登場する株式会社名大社の西田さんがファシリテーター(=会議や研修などの場で、良質な結果が得られるように活動のプロセスをサポートする人)を務められているんです。西田さんのお人柄もあって、笑いが絶えない和気あいあいとした雰囲気で、全然堅苦しくないんです。

「手が痒くなるくらい拍手してくださいね~。」
西田さんの抜群のつかみで交流会が始まりました。そんな中、西田さんから、学生さんに、参加の目的について次のような説明がありました。


    ↑名古屋学院大学にて。ファシリテーターをする西田さん。

西田さん:
皆さんは、何歳まで働きたいですか。私が教えている大学の授業の中で、学生に同じ質問をしたのですが、アンケートの結果、60~65歳くらいまで働きたいという人が多かったです。現在は60~65歳で定年退職するのが一般的だからかなと思います。
しかし、皆さんが60~65歳を迎えるときには定年退職とはならなくて、まだまだ働くのが当たり前になっているかもしれません。

例えば「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)-100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン著)」という本の中では、2007年生まれの子どもの半数が到達する年齢の研究結果が掲載されていて、日本は107歳と言われているんです。

ここにいる皆さんは2001年生まれなので、おそらく100歳くらいまで生きる人がある程度います。60歳まで働いて、100歳までの残りあとの40年どうやって生きていくか、100歳まで生きるのにいくらかかるのか、そんな不安を抱えて生きていくのもつまらないと思うんです。100歳まで生きることが現実になってきている皆さんに、ぜひこの交流会を、人生100年時代を想定した働き方を考えるきっかけにしてほしいと思っています。

また、普段就職活動というと、人事の人に会って、エントリーしてくださいと言われるイメージだと思います。今日はそういう会ではありません。営業の方や研究職の方などいろんな立場の方に来ていただいています。その方がどういう考え方でどういうキャリアを歩んで、これからどうありたいかを聞くことができる、そんな会なんです。
今日は、グループディスカッションで企業の方と、たくさんコミュニケーションをとることを大事にしてほしいです。

 

第1部パネルディスカッション。リアルな働きがい、生きがいに触れる。

パネルディスカッションでは、次のテーマについて、1大学あたり女性活躍推進企業4社の社員の方にお話いただきました。

01 自己紹介(会社・仕事のこと)
02 会社との出会い・入社を決めたワケ
03 働いていて感じる魅力
04 仕事のココがおもしろい!
05 仕事とプライベート
06 ●●さんのこれから

  ↑名古屋学院大学にて。パネルディスカッションの様子。左から
   春日井製菓㈱商品開発部の方(グミチームに在籍だとか)
   ㈱中日新聞社の広告営業の方(イベントや事業開発もやっているそう)
   東海東京フィナンシャル・ホールディングス㈱の営業の方(証券を扱います)
   財務省名古屋税関の人事の方(この間まで、手荷物検査などをやっていました)

パネルディスカッションでは例えば次のようなトークがありました。

西田さん:
働いて感じる会社の魅力を教えてください。

財務省名古屋税関の人事の方:
働き出すまで税関の仕事は、空港の手荷物検査のイメージしかありませんでしたが、実際はいろんな仕事があってとても面白いです。空港や港で働くこともありますし、輸出入している企業に赴いて調査する仕事もあります。初めて空港で不正なものを見つけたときは、見つけた側の私が、怖くて手の震えが止まりませんでした。今では怖いと思うことはなく、反対に、不正なものを見つけたときは最高にうれしいです。

西田さん:
仕事のココがおもしろい!教えてください。

㈱中日新聞社の広告営業の方:
自分で新しいものを作り上げたい人にとってはおもしろい会社です。また、営業とはいえ、決まったものを売るわけではなく、自分のアイデアを売っている感覚もあるため、発想力豊かな人には楽しい仕事だと思います。

西田さん:
仕事とプライベート、切り分けていますか。

春日井製菓㈱商品開発部の方:
4歳の子どもがいるということもあり、仕事とプライベートを切り分けています。プライベートでは、子ども優先の生活ですが、子どもが寝た後に必ず自分の時間を確保しています。私は自分の時間がないと精神的につらくなることが分かっているので、プライベートで仕事をすることはありません。好きな音楽を聴いたり、SNSやYouTube、スポーツ観戦したり、自分が楽しむ時間を作るようにしています。そんなことをしていると、時折SNSで見つけた今流行っているもの、美味しいスイーツ情報が仕事に活かされるなんてこともあるので、きっちり切り分けているわけじゃないのかもしれないですね。

西田さん:
ずばり、5年後・10年後はどうなっていたいですか。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス㈱の営業の方:
この先結婚、出産もしたいと思っているのでライフイベントに合ったキャリアを描いていきたいと思っています。当社では実際にロールモデル(=自分の行動や考え方など、キャリア形成の上でお手本になる人物のこと)のような女性社員の先輩が多くいるので、今後多くの方のお話を聞く中で自分の目標を正確に決めていきたいと思います。

パネラーの皆さんに、お仕事のこと、プライベートのこと、これからのことなどを、飾らない言葉でざっくばらんにお話しいただきました。それを聞き入る学生さんたち、皆さん真剣な表情でした。

第2部グループディスカッション。働きやすさ、働きがいを考える。

学生の皆さんに、6~8人のグループに分かれていただき、女性が「働きやすい職場づくり」、「長く働ける環境作り」のために必要だと思う企業の取り組みについてアイデアを考えていただきました。
最初に西田さんから、グループディスカッションの目的について次の説明がありました。

西田さん:
短い時間でのグループディスカッションなので、斬新なアイデアを求めているわけではありません。いっぱい考えて、それを企業の方にぶつけて、企業の方と話をする機会にしてほしいです。

また、グループディスカッションは次の流れで進みました。
(1) 企業の方に聴きたい質問を考える
(2) それぞれ考えた質問をグループ内で共有
(3) 「誰が」「何を」「どの企業に」質問するかグループ内で担当を決める
(4) 各企業へ質問する
(5) 質問で企業から得た回答をグループ内で共有
(6) 共有した内容を元にグループでアイデアを考える
(7) アイデア発表
(8) 企業からのコメント

学生の皆さんから企業の方への質問は、
「産休・育休前後で会社のフォローはありますか」
「子育てしながら働くためにどんな制度がありますか」
など、家事育児と仕事を両立するための質問が多かったように感じます。

企業の方からも、
「産休・育休の前後には必ず上司との面談があって、いつ頃復帰したいか、復帰した後はどんな働き方をしたいか、など丁寧にヒアリングしてもらえますよ。」
「子育てしながら働くために、時短勤務の制度があります。お互いさまの精神で、時短勤務の人には終業時間で帰ってもらう、残業はさせないことを徹底しています。」
など、丁寧な説明があり、学生の皆さんはそれぞれ理解を深めている様子でした。

  ↑名古屋学院大学にて。グループディスカッションの様子。

 

交流会を終えて気持ちに変化が。結婚出産しても働き続けたい!

さて、ここからは、参加いただいた学生の方3人へのインタビューを紹介したいと思います。

名古屋学院大学 現代社会学部3年 細川風輝(ふうき)さん

高知県出身。大学では心理学や地域コミュニティ、民法などを学ぶ。特に興味があるのは人間の心理的な発達段階や、集団における心理・行動に関する科目。
地元からの友人が大学に一人もいなかったため、ダーツサークルや、CAMPUS COLLECTION (海外合わせて15都市で開催している学外総合文化祭)の学生団体に所属し交友関係を広げる。

 

名古屋女子大学 家政学部3年 澤田璃々香(りりか)さん


大学では主に建築を学ぶ。住宅やこども園、文房具店などの設計に取り組んでいる。図面を書いたり模型を作るのは難しいが楽しい。就職後に活かすために、宅地建物取引士の資格取得に向けて勉強中。趣味は読書。最近は「落日」(湊かなえ著)を読んだ。

 

椙山女学園大学 現代マネジメント学部3年 遠藤有珠(ありす)さん

大学では経営やマーケティングについて学ぶ。商品開発の授業では、星ヶ丘の、大学の近くにあるレジャー施設の運営企業に協力いただき、SDGsの観点から廃棄されるボウリングピンの再利用方法を考えている。グローバル化や情報化などの社会の変化に対応できるよう、国際経営や国際法、プログラミングやwebデザインについても勉強中。
大学以外では、韓国語や化粧品といった、自分の関心の高い分野について学び、知識を身に着けている。

 

(-は榎本が発言)

-交流会に参加して、印象深かった女性社員の方と、なぜ印象深いと思ったのか教えてください。

細川さん:
私は、㈱中日新聞社の方の(イベントや企画など)「毎日何かを生み出している、自由にやっている」という発言が印象的でした。新聞社に対して、取材や編集といったイメージしか持っていなかったので、新たな一面を知ることができました。

-私も、㈱中日新聞社の方から、同じ部署の仲間がジブリパークの運営に関わっていると聞いて、予想外で本当に驚きました。

澤田さん:
私は、就活の軸を「自分の好きな仕事」に絞ったという㈱アルペンの方の発言が印象的でした。私はまだ自分の軸が定まっていないので、とても心に刺さり、参考にしたいと思いました。

-㈱アルペンの方はスポーツが大好きで、人生の本当に長い時間を仕事に費やすのだから、自分の好きなスポーツ業界に絞って就活をされた、とおっしゃっていましたね。

遠藤さん:
私が交流会で印象深かったのは、岡谷鋼機㈱の方の「働く中で性別を意識したことはなく、女性だからといってデメリットを感じたことはない」という意見です。私がいる大学は女子大ということもあり、女性の働き方や性の認識について触れる機会が多いので、性別を意識せず、一人の人間として自分のやりたいことをやる、という発言がとても印象的でした。

-私は、岡谷鋼機㈱の方が「結婚したから、女性だから海外赴任は難しい、はおかしい。私はチャンスがあれば海外赴任したい。それをいつも上司に言っているんです」と言われていたのが大変印象に残っています。

  ↑椙山女学園大学にて。グループディスカッションの様子。

 

-交流会に参加して、心境の変化はありましたか。

細川さん:
妊娠・出産などのライフイベントに直面した際に、仕事を諦めたくない、育休後に復帰して働くことへのサポート体制のある企業を選びたいと思いました。

澤田さん:
私も同じです。私は今まで、長く働き続けたいと思わずに企業を探していました。交流会で、生き生きと働く女性社員の方の話を聞いて、ライフイベントがあってもやりがいを感じながら働き続けられる企業を探したいと思いました。

遠藤さん:
私も、交流会に参加する前は妊娠・出産を機に一度仕事を辞めようと考えていました。その理由としては、仕事を理由にしてプライベート、特に子どもを犠牲にはしたくないからです。
しかし、仕事とプライベートを両立されている女性社員の方のお話を聞いて、自分自身のために仕事を続けたいと思いました。もちろん両立する上で大変なことも多いと思いますが、子育てとは違う仕事でしか感じることのできない面白さを感じながら、自分の人生を豊かにしたい、会社にある様々な制度を利用することで、それが可能だと思いました。

-交流会を通じての心境の変化。主催者としてうれしい限りです。

 

どう働きたいか。どう生きたいか。未来の自分を考えてみる。

  ↑左、細川さん(パネルディスカッション)
        中、澤田さん(グループディスカッション)
        右、遠藤さん(交流会終了後、企業の方と記念撮影)

-将来どんな働き方をしたいですか。

細川さん:
プライベートや自分の健康を大切にしたいので、理想の働き方は、完全週休二日制の定時退社(+フレックスタイム制)です。
興味のある職種は営業・企画です。営業職は、基礎知識や実践、自分の実力が可視化され、学びの幅が広がると考えます。また、企画の仕事は、何かを一から考え作り上げるので、過程の中での学びや、やり切った達成感が、自己成長につながることに魅力を感じます。
また、一般職よりも、自分の責任で、自分で考えて行動できる総合職で働きたいです。

澤田さん:
私は住宅業界で営業職をしたいです。お客様に1番近い立場で家づくりをすることに魅力を感じます。
また、将来的には、責任のある仕事を任せてもらえるようになりたいので、一人ひとりのお客様とのやりとりを大切にし、きちんと要望を汲み取って、素敵な住宅を作りたいと考えています。お客様により良い提案を出来るように仕事もプライベートも様々な経験をしていきたいと思っています。

遠藤さん:
将来は、企画に関わる仕事や、自分のアイデアなどを活用して製品の開発や販売に関わる仕事をしてみたいです。特に、企画などを通じて、自分が関わった製品の良さを、多くの人に知ってもらうことで、他の人の役に立ちたいです。今は、漠然とした商品企画をしたいという思いですが、これから就活をしていく中で、多くの社員の方々と出会い、憧れる人を見つけて、具体的なキャリアプランを立てられるようになればいいなと思っています。

  ↑名古屋学院大学にて。グループディスカッションの様子。

 

-将来、どんな生き方をしたいですか。どんなキャリア(=働くこともプライベートも含めた生き方)を描きたいですか。

細川さん:
私は、我慢をせずにやりたいことはとことんやる生き方をしたいです。
そのために必要なのはお金と知識なので、必要だと思うことはとことん学び、キャリアアップをしていきます。好きな物や事にはお金は惜しみたくないので、プライベートを充実させるための努力をしていきます。
結婚・出産というライフイベントは、正直なところ具体的に考えたことがないので上手く答えられないのですが、家事も育児もかっちり分担するのではなく、時と場合で臨機応変に互いを支え合いながら出来たらいいなと思います。

澤田さん:
今の時点では結婚・出産は想像ができていません。
ですが、もしそういったライフイベントがあったとしても、一個人として社会との関わりを持っていたいので働き続けたいと考えています。パートナーとも家事育児は半分ずつ分担したいです。
また、子どもとの時間も大切だと思うので、家事育児と仕事を両立できる、時短勤務などの制度の整っている企業で働きたいです。

遠藤さん:
大学卒業後は、正社員で仕事にやりがいや成長を感じながら、プライベートでは新しい趣味を見つけたり友人との良好な関係を保ちながら充実した生活を送りたいです。また、仕事を通じて成長するだけでなく、様々な資格の取得にも挑戦し続けたいです。
そして、結婚後は家事を夫婦で分担して仕事を続けたいです。女性社員の方が、「結婚をしたことで仕事内容に変わったことはなかったけど、早く帰って夕食の準備をしよう!など、意識の面で変わったことはあると思う。ただ、逆にパートナーが作ってくれることもあるし、仕事の相談をすることもできて仕事へのいい影響もある」とおっしゃっていたので、結婚しても仕事を続けて、夫婦で支え合っていけたら良いなと思っています。
妊娠出産後は子どもと一緒にいる時間を大切にしたい気持ちが大きいですが、育児休業や時短制度を利用して仕事を継続することで社会との繋がりを保ちながら、広い視野をもって人生を豊かにしたいです。制度を利用するためにも、職場で良い人間関係を築き助け合いながら思いやりをもって仕事をしたいと思いました。

-どう働きたいか、どう生きたいかを語る姿は、エネルギーにあふれていて、とてもまぶしく感じました。皆さん大学3年生、これから控える就職活動と、今後のご活躍を応援しています。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました!

 

~インタビューを終えて~
インタビューさせていただいた3人の学生さんのコメントから、交流会を通じてキャリアに対する考え方が変化したことを肌身で感じました。
また、交流会の魅力は
・様々な職種の、現場で働く女性社員の方と、とことん対話ができること
・具体的な仕事をするイメージ、家事育児を両立するイメージなどをつかめること
・どう働きたいか、どう生きたいか、自分と向き合って考える機会になること
だと改めて思いました。
交流会が、参加された学生さんにとって、キャリアを描くきっかけになれば幸いです。

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