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2023/03/17

#9-2(後半)公務員×キャリア。主体的な働き方を目指して。

こんにちは。名古屋市男女平等参画推進室(以下、男女室とします)の榎本です。
令和4年度のコラム企画最終回の後半では、男女室メンバーの一人、木下さんへインタビューをしたいと思います。
実は木下さん、今年度係長昇任試験(※)に合格しているので、キャリアアップのきっかけについても聞いてみたいと思います。

※名古屋市職員はいわゆる平社員から係長級になるために、地方自治法や地方公務員法の択一問題と論文の筆記試験、面接試験があります。

名古屋市役所スポーツ市民局男女平等参画推進室 木下真綸(まりん)さん

1994年生まれ。大府市出身。大学卒業後名古屋市役所へ入庁。
最初の配属は南区地域力推進室。区民まつりや広報などを担当していました。4年在籍後、2020年にスポーツ市民局男女平等参画推進室へ異動し、現在3年目。以前はナゴ女!応援サイトを含めた女性の活躍推進を担当していました。3月から名古屋市内に引っ越します!

 

今年度一番印象深かったのは、ファミリーシップ制度の創設です。

(-は榎本が発言)

-#9前半の記事で伺っていますが、改めて、男女室でどんな業務を担当されているか教えてください。

木下さん:
今年度は、多様な生き方への理解促進事業、ファミリーシップ制度、イーブルなごやの運営・管理、女性のつながりサポート事業、男女平等参画審議会、生理の理解促進などを担当しています。

-担当業務の中で一番印象深かったことを教えてください。

木下さん:
やはり「名古屋市ファミリーシップ制度(※)」が創設できたことです。時間がかかりましたが、今年度ついに導入できました。市役所内部の調整に奔走し、他都市へ丁寧なヒアリングを重ねる上司の姿は、とても勉強になりました。開始してからは宣誓者の方と接することが多くなり、直接色々なお話を伺うと、この制度を創設できてよかったなぁとしみじみ思います。次年度以降も頑張りたいです。

-ファミリーシップ制度の創設は私も本当に印象深かったです。制度を始めるための裏側の苦労はここには書ききれないくらいで…。どんな困難があっても諦めない、男女室のファミリーシップチームの強い思いに心を打たれました。

※名古屋市ファミリーシップ制度・・・互いを人生のパートナーとしている二人が、日常生活において対等な立場で継続的な共同生活を行うことを市に宣誓し、市がその事実を証明する制度。二人のほかに、希望すれば同居するお子さんを含めることができます。利用できる方は、現在の婚姻制度を利用できない・利用しない性的少数者や事実婚などのカップルの方です。

 

女活担当時代出会った人たちが、マインドチェンジのきっかけに。

-木下さんは、2020年度と2021年度に女性活躍推進担当をされていたんですね。担当時代の印象深かったエピソードを教えてください。

木下さん:
2021年9月に掲載になったナゴ女応援!サイトコラムの「Vol.3 悩みを解決したい~教えて!センパイ」で登場されたジェイアール東海髙島屋の犬飼さんのインタビューが印象深いです。
2021年度のコラムに登場されている方は全て記事を書いてくださったシティリビングさんとご縁のある方で、どの方も仕事との向き合い方などが素敵でした。

中でも犬飼さんはとても明るい方でお話も上手く、「一緒に仕事したいと感じさせる人ってこんな方なんだろうな」と思いました。コラム内にもあるように、最初配属されたランジェリー売り場でも「犬飼ちゃんがいるときには補充がいつもされているねと言われるようになろう」「あまり使わない備品は減らそう」「ゴミの分別を私たちが気を付けると先の作業が楽になるからみんなにも気を付けてもらえるようにしよう」などご自身で目標をしっかり立てて達成していかれたことがすごいなと思います。簡単なことではありますが、課題を課題として認識し、それをクリアするということは仕事する上で一歩質を上げることや自身の成長につながると思うので、どんな仕事でも取り組みようはあるなと思いました。

他にも人気催事の裏側での工夫や、ご自身の大変だったお話も伺うことができ、恵まれた環境にいるのではなく、環境は自分で作るものなのだと感じました。もちろんどうしようもない状況もあると思うので、そういった場合転職するのもアリでしょうし、それは自分で環境を作ったともいえると思います。

-「課題を課題として認識し、それをクリアする」「環境は自分で作るもの」、心に染みるフレーズです。様々な業界で頑張る働く女性に出会えて、刺激を受けて、自分もやってみようと思えるのは、女性活躍推進担当の醍醐味だと思います。


 ↑ナゴ女応援!サイトコラム画面。右側がジェイアール東海髙島屋の犬飼さん。

 

主体性を持ち続けたい。その思いから管理職を目指す。

-名古屋市女性職員の係長昇任試験受験率は約6%となっています。そんな中、今年度係長昇任試験を受験された木下さんに、動機について聞きたい!と思っていました。受験の動機や、管理職を目指そうと思ったきっかけがありましたら教えてください。

木下さん:
やはり女性活躍推進担当をしたことがとても大きかったです。色々な業種・職種・立場の女性の話をたくさん聞くことができました。皆さん輝いて働いているのはなぜだろうと思ったときに、主体性をもって働かれていることだと感じました。もちろん主事(いわゆる平社員)でも主体性は必要ですし、優秀な方はたくさんいらっしゃいます。でも私は自分のこれまでの経験上、環境に大きく影響を受けるタイプだとわかっていたので、管理職という責任ある立場になった方が主体性をより持ち続けられるだろうと思いました。
ただ自分自身管理職に向いているタイプだとは思っておらず、自分なんかが務まるだろうかという不安もあったのですが、それならきっと係長試験に落ちるから大丈夫だと思っていました。

-女性活躍推進担当をされたことがきっかけだったのですね。管理職になると責任が増える分、自分で決められることも増えますよね。
木下さんの言われるように、「○○すべき」「○○しなければいけない」ではなく、「○○したい!」というマインドで働く方は生き生きとされていて、私もそうありたいと共感します。


 ↑業務中の木下さん

 

相手を否定しない、場を明るくする、複合的に物事を考える人になりたい。

-そんな木下さんが目指したい人物像、目指したい姿がありましたら教えてください。

木下さん:
自分がこれまで仕事をしてきた中でこうなりたいと思ったのは「相手を否定しない」「場を明るくさせる(重くさせない)」「複合的に物事を考える」人です。

相手を否定しないというのは、もちろん相手の提案や考えに誤りがあったり、こちらの希望にそぐわないものをそのまま受け入れるということではありません。提案すること自体は良しとして内容を考えたり、お互いの折衷案を模索したりします。やはり全否定するような相手とは信頼関係は築きにくいので、お互いやりづらくなると思います。今の男女室内の皆さんはそのあたりが上手い方々なので勉強になりますし、私自身、事業企画や資料を作成する際、見る人が否定せざるをえないようなものになっていないか、落とし所のある内容になっているかというマインドを持つようになりました。

場を明るくさせる、というのはまさに榎本さんがすごいなと尊敬しています。本当にいつも場の雰囲気を明るくしてくれますし、積極的な姿勢も刺激になります。場の雰囲気を明るくさせる人は「この人と仕事したい」と思わせてくれるので、自分もそうなりたいですね。

また、多くの仕事でそうだと思いますが物事というのは色々な要素が組みあって、これまでの経緯や今後の見通しがあるなど縦にも横にも広がることが多いです。つい目先で処理したくなってしまうのですが、いろいろな要素や影響を考慮して判断していくことは仕事の質にも関わりますし、後々楽になることもあると思います。

-ありがとうございます。あらためてほめられると照れてしまいます。
自分の意見を飲み込むことで我慢をしたり、一方的に自分の主張を押し通したりせずに、相手を尊重しながら自分の気持ちを伝える、アサーティブコミュニケーションのスキルは、マネジメントの上で大変重要ですよね。
「複合的に物事を考える人」で私が思い浮かんだのは男女室の上司たちです。様々な側面からリスクや効果を検証して分析している姿に多くのことを学ばせてもらっています。


 ↑真ん中が木下さん

 

プライベートの充実が仕事のモチベーション維持につながる。

-木下さんの一日のタイムスケジュールを教えてください。

木下さん:
ある一日の流れは次のような感じです。

-コラム#9前半、自己紹介の「好きなこと」を深堀りしたいと思います。木下さんの好きなことを詳しく教えてください。

木下さん:
大手芸能事務所の男性アイドルが大好きです!応援歴は14年になりました。今は今年20周年を迎える3人組男性アイドルグループと、2020年デビューの9人組男性アイドルグループを中心に応援しています。デビュー前のアイドルを含めてほぼ全グループの印象、メンバーの名前と顔が言えます。でも最近は韓国も好きで、7人組のグローバルボーイズグループも応援しています。おかげで最近韓国の文化や言葉を色々と覚えています。
あとお酒が好きです。最近焼酎が飲めるようになったので幅が広がりました。名古屋めしはご飯がお酒に合い、名古屋近郊含めて醸造業も盛んなので色々楽しめて嬉しいです。

-語ってくれる木下さんが生き生きしていて、私も楽しい気持ちになります。木下さんのおかげで、私は最近の男性アイドルグループに少し詳しくなりました。

-休日の過ごし方について教えてください。

木下さん:
友人と会ったりします。学生時代の友人が最近男性アイドルにハマってくれたので先日一緒に鑑賞会をしました。カラオケによってはプロジェクターが設置してあって大画面で見られるので楽しいです。
後は図書館に本を借りに行ってそのまま近くのカフェで読んだりするのも好きです。でも一番最近読んだ本は自分で買った加藤シゲアキ先生の「できることならスティードで」(文庫版)です。加藤シゲアキ先生は、大手芸能事務所の男性アイドルとしても活躍されている方なんですよ。

-加藤シゲアキ先生、知らなかったです…。オン・オフをしっかり切り分けて、オフを楽しむ。モチベーションを保つために大事なことですね。

-他に、モチベーションを保つために実践していることはありますか。

木下さん:
ありきたりですが目標を立てることです。ただ計画性がないので目標を立てるのもあまり得意ではなく…。今日はこれをやる、というのをリスト化して1つ1つ消していくと、ちゃんとやることができた、と達成感が生まれるので忙しい時ほどやるようにしています。ただ突発事項に対応していたらできずに1日が終わることもままあるので、他の人はどうしているのかなと気になっています。
後は好きなものを身近に置くことです。私の場合は7人組のグローバルボーイズグループのボトルガムを机に置いています。嫌なことがあっても推しの顔を見ると気分が上がるので切り替えが楽です。

-突発的に起こった出来事の対応に追われて、予定していたことができずに一日が終わること、ありますよね。私の場合、諦めてリスケジュールしますが、対応できずに溜まっていくタスクを見るとモヤモヤしています。

 

男女室=私が自分らしく働ける場所。

-最後に、木下さんにとって男女室はどんなところか、教えてください。

木下さん:
「自分らしく働ける場所」です。元々ジェンダーにはある程度関心があったのですが、男女室に来てから自分は思っていたよりジェンダーでモヤモヤすることが多かったことに気付きました。例えば他部署から広報について男女平等の視点での確認依頼をされる時があるのですが、昔は「ここまで言ったら考えすぎかな…」と思うようなことまで容赦なく指摘できます。ジェンダーに関するモヤモヤを共有できる、生まないようにすることが、自分にとってはとても働きやすい環境なのだと思っています。

-普段の職場での会話ではなかなか知ることのない、貴重なお話をうかがうことができました。インタビューにご協力いただきありがとうございました。

 

~全9回のコラムを終えて~

まずは、コラムに出演いただいた皆さまに深く感謝を申し上げます。
ご出演いただいた皆さまは、女性活躍推進担当をする中で、ご縁があって出会うことができた方々です。

私の場合、2021年に係長昇任試験を受験したのですが、きっかけは、40歳を控え今後の人生を考えたときに、退職まで係員として過ごす姿を想像し、モヤモヤを感じたことです。また、同期が直属の係長になり、その上司が係のマネジメントをする姿を見て、自分もステップアップしてみたいと思ったことです。
一方、係長試験に受かったものの、管理職になった自分が家庭と仕事を両立ができるか、自分がマネジメントをできるか、すごく不安でした。

そんな中、異動した男女室でコラムを始めることになりました。コラム取材を通じて、出演者の方々には、働きがいや生きがいなどの深い部分までお話いただいたり、時には、私の管理職への不安に対してアドバイスをいただいたりしました。コラム取材の機会が、私に足りないものを知り、自身のキャリア(どう働きたいか、どう生きたいか)を考えるきっかけになりました。

この一年間、いろいろな気付きを得られて、チームマネジメント、傾聴・受容・自己一致などの心理カウンセリング、ファシリテーションなどのスキルを学びインプットすることができました。残念ながらアウトプットが十分にできておらず、得た知識が身についているのか定かではありませんが、来年度、4月から係長級になった際には、泥臭く試行錯誤しながら悪戦苦闘したい、そんな前向きな気持ちの自分がいることに驚いています。

そんな私の現在の気持ちを記して、終わりたいと思います。全9回のコラムにお付き合いいただきありがとうございました。

~コラム執筆者プロフィール~

名古屋市役所スポーツ市民局男女平等参画推進室 榎本真由子。 1982年生まれ。岐阜県出身。大学卒業後、資格試験を数年受験し、公務員試験に切り替えて2008年に名古屋市役所へ入庁。最初の配属は熱田区市民課(3年)、本庁の旧市民経済局(現在のスポーツ市民局)住民課(6年)、市長室秘書課(4年)、市長室広報課(1年)で勤務し、現在は男女室1年目。 入庁6年目(2013年)と11年目(2018年)に育児休業を取得した。 夫・9歳の長女・4歳の長男の4人暮らし。市内在住。

名古屋市スポーツ市民局市民生活部男女平等参画推進課
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